2018-09-19

クラス演劇、学校演劇、文化祭のための音響照明 体育館ステージ照明編

今年度、体育館ステージ照明に力を入れたいなぁ、と思ったのはこの動画を見たから、というのも大きいかもしれません。

https://youtu.be/jRZWB_IMVcQ


大阪市立西高等学校の文化祭だそうです。前任校で有志団体の舞台の照明や音響に5年間携わって色々と学ばせていただきましたが、ここまで学校全体でガッツリとやっている学校もある!と勇気付けられ、少しずつでもいいので今いる学校の舞台発表やエンターテインメントを進化させていきたいなという思いを新たにしたのでした。

話は1年前に遡りまして、現任校着任1年目に見た後夜祭体育館ステージでのバンド演奏は2階ギャラリーからカラーフィルターが回転するタイプのスポットライトが上手と下手に1発ずつと、ステージ天井に固定されて昇降しない(!)ボーダーライトが吊ってあり、2階の体育館放送室からそれらをON OFFできるだけのもので、「照明による演出」をしたくてもできない、もしくは思いつきもしない状況でした。

幸い、文実担当の先生が声をかけてくださり、文化祭を盛り上げたいという共通の思いから文化祭での売り上げの使い道についてアレコレ話をしているうちに、こちらの希望を聞いてくださり、いくつかの照明機材を新たに導入させていただけることになりました。

照明の世界も日々進歩しており、廉価でなかなかのものが手に入るようになって来ています。

まずはオールマイティーなパーライトとして
AMERICAN DJ (アメリカンディージェイ)
Dotz Par  ¥12,744 (税込)
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/193383/

次にエフェクトとして
AMERICAN DJ (アメリカンディージェイ)
MINI DEKKER LZR ¥13,824(税込)

他には照明スタンド
あとはDMXケーブルを。

DMXによる照明の制御についてはサウンドハウスさんの「照明入門講座」がとてもわかりやすいです。
照明入門講座
電球タイプのパーライトを使用した、DMX制御


◆どのようにして照明機器を操作したか

LED照明は1灯で複数のチャンネルを使います。
例えば24チャンネルのフェーダーがついたDMXコントローラーでそれらを制御することは不可能ではありませんが、ホールに設備が固定されていて、いつでも試せる状態で、慣れた人には扱えるかもしれません。

前任校の卒業生に音響照明に詳しい人がいて、sushi DSという6,000円くらいのUSB-DMXインターフェースがあり、いくつかのアプリケーションがそれに対応していて照明機器を制御できるということを教えてくれたことがありました。

それが使えるのではないかと思い、早速そのsushi DSを購入してみてDMXコントロールアプリケーションDASLIGHT 1(フリー版。現行は4ですが、月額または年額で費用がかかります)を学校のノートPCにインストール、文実の生徒と一緒に機材をつないでテストしてみましたが、できるにはできたものの、…大丈夫かな?といった手応え。

まあこれで行こうかとなり、次回までにプログラムを組んでみるように、解散、となりました。

その次の集まりの前日だったでしょうか、諦め悪くDMXコントロールアプリケーションを探していて偶然見つけたのが「QLC+」というソフトでした。比較的新しいソフトのようです。

DMXコントロールアプリケーションは書籍で解説が出るほどの分野ではないため、扱い方を体得するまでが難しいと思います。DASLIGHT(ver.1)も日本語での情報が確かほとんどなくて苦労した覚えがあります。

このQLC+はフリーソフト(ドネーションのボタンがあったので寄付で成り立つシェアウェアでしょうか)であり、日本語のマニュアルがダウンロードできます。対応OSはwindowsもmacもLinuxもあり。

さらにはyoutubeにQLC+の使い方を日本語で解説している動画もありまして、これがとても参考になりました。

で、急遽文実の生徒にもこのアプリケーションや動画を紹介して、こちらで行こうということに。

サンプルのプリセットを作ってみて、視聴覚室に照明を立ててミニライブをして、何をどのように組み立てていけばいいのかがわかりました。その後は夏休みを利用して放送室内に照明を仮組みし、そこにQLC+のインストールされたノートPCを置いて、データを作って試せる環境を用意しました。

「どの照明を何チャンネルに割り振っているのか」や「入力装置と出力装置の設定」などはこちらで決める必要がありましたが、そのテンプレートデータを共有しさえすれば、あとは担当する生徒がそれらの曲に合わせてシーンとチェース(連続したシーン)を自由に組むことができます。ダウンロードしてインストールすれば自宅での作業も可能です。モニター機能でどの灯体がどんな色になっているかも一応わかりますし、ボタンアレンジも自分でできるので、わかってしまえばアレコレ作り込みもできます。


その後も学校に古くからあったフットライト(丸茂の12灯が3台、プラグはT字)の電球をLEDの40型に交換して、平行の変換ケーブルでDimmerパックに繋げてDMX制御できるようにしたり(それに付随して電源の電気工事もしてもらった)、音響方面をカバーしてくださった先生がスモークマシンを急遽導入したりして、なんやかんやありましたが、以下の動画は文化祭当日の体育館ステージ発表での照明の様子です。19秒の短い動画です。コピーバンドなので、音声は抜いてあります。

大阪市立西高校さんと比べてしまうとアレですけれども、音楽に合わせて照明が変化していくのを見ると、気持ちも高揚させられるのが感じられました。


中央付近でぐるぐる回っているのは、アマゾンで7,000円くらいで購入したムービングヘッドです。これはメーカー名も不確かでQLC+にはフィクスチャー情報が登録されていなかったので、16ch分のデータを英語のマニュアルを見ながら自分で登録する必要がありました(しかも間違って登録してしまったりした)。


できるだけお金をかけずにしっかりとしたステージ演出照明を実現するにはどうしたらいいだろうか、ということを念頭に置いて、色々な方々のお力をお借りしながら取り組んだ半年間でした。

予算のかけられない学校関係の方々に、少しでも参考になれば幸いです。



【知りたいこと・これからの課題】
学校行事における音響関係は放送委員会や放送部が担うことが多いと思うのですが、照明関係は学校内でどこが担っているのでしょうか。ホールなどの専門設備がある学校ではそのスタッフを束ねる委員会なり組織なりがあると聞きます。そうでないところはどうしたらいいものか…。技術と知識が伝承される仕組みを作っていかないと、続いていかないので、そこが課題かと思います。
(本質が抜け落ちてまで続けることがいいことだとは思っていませんが)

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