2018-09-23

中学2年美術 木彫 鎌倉彫 試作 「彫り」編

美術教育の題材の記録も。

中学2年の美術で行う鎌倉彫の題材について記録しておこうと思いました。

中学2年と3年の美術は今、週に1時間しかありません。(中1は音楽と合わせて3時間)

1時間といっても、学校によって50分や45分の1単位時間ということです。
今の勤務校では45分です。

こうして改めて文字に書き起こしてみると、中学校現場での割り当てられた時間の少なさに愕然としますね…。

学習指導要領にはアレもコレもてんこ盛りですし、こっちがやりたいことや体験させたいことは山ほどあれど、どちらにしても圧倒的に時間が足りないんだよ、って思っていたところで勝手に世の中が変わってくれるわけではなし。

それでも毎日の授業の時間は容赦なく細切れに押し寄せてくるわけで、目の前の忙しさを言い訳に、その状況で頑張ってなんとかやってしまっているのはある意味で現状を黙認してしまっているのと変わりないのかもな、という思いはずっとあって、blogなどでわずかずつでも「そうじゃねぇでしょうよ」ということは表明していかないといかんなと思っています。(一文が長い)

いち公立美術教員として、1年1年失敗覚悟で少しずつ新しい色々な題材にチャレンジしています。これまではそれを個人内経験として蓄積しているだけでしたが、それをオープンにしていくことでバタフライ効果とまでは言わないまでも、何かに繋がっていく可能性はゼロではありません。私自身も数々のそういったアノニマスな記事に助けられてきましたし、私の置く小石やパンくずは誰かの役にたつかもしれません。


で、前置き長い。

今回は現在進行形の木彫課題 鎌倉彫です。

◆題材計画

1回目で題材の説明、次回までに鎌倉彫について調べたりするワークシートを配付し宿題としました。

鎌倉遠足の際に鎌倉彫工芸館を訪れこの題材のヒントを得ました。以下の写真を紹介。


赤い台紙に貼ってあるのは完成見本。カゴに入っているのが売られている状態で、糸鋸などで切るところまで進めてある半完成品。








2回目の授業では、宿題にしてあったワークシートの解説をkeynoteで画像などを交えながら行いました。主に「鎌倉彫の歴史」「材料と工程」についてです。自分が中学生の時に八角鍋敷きに取り組んだ時には、そういったいわば根っこの部分みたいなものがなくて、言われるがままにただやっただけ、みたいな思いが残ってしまったので、そんな話も交えながら解説していきました。その解説の後は自由に話し合ったりアイデアの方向性を検討する時間にしました。また、次の授業までに文化祭などで1週あきましたので、デザインを決定し原寸の下図を描いてくることを宿題としました。

・イマココです。以下は予定

3回目の授業では桂材8cm×8cm、厚さ1.5cmを配布、下図をトレースして転写します。当初は鉛筆カーボンで行おうと思っていましたが、やってみたら結構線が薄かったので、カーボン紙を使うかもしれません。チャック付き袋と木材、カットした紙やすり180番と240番あたりを一緒に配付し、芸術室(勤務校での呼称)にクラスごとに保管の予定。

4回目から6回目くらいまでは授業で彫りを行うことができます。
▲糸鋸盤を使って透かし彫りや周囲を切り離す作業もできますが、これも結構時間がかかりました。1回の授業の半分程度を使ってしまうかも。
△チャック付き袋に入れるのは、持ち帰りで自宅で作業をしてもよい、とするため。

7回目は下地塗りと紛蒔き
8回目は砥ぎと中塗り
9回目は砥ぎと上塗りプラス乾口とり(古び粉蒔き)
10回目は仕上げ研ぎ

12月に校内展示があるので、それまでに完成させる見通しです。

◆見本制作過程(彫り終わりまで)

伝統的な図案もいいですし、こんなのもいいんじゃない?という提案的見本。
お薬シリーズ、としてみました。


転写して糸鋸盤でカット


切り終わり。厚みがそれなりにあるので、スイスイサクサクとはいかない。


ムスメの彫刻刀で彫り彫り


レリーフはあまり得意ではなく「こ、こうか?」とビクビクしながら彫っています。 


なんとなくいい感じ


せっかくなのでディテールまで


紙やすり研磨まで終えました。
塗装編はまた後日。

塗装して乾燥させるための置き台をどうするか迷っています。
160人分の作品を乾燥させるスペースを確保しつつ、なおかつそのスペースが他の学年の題材とかぶらないといった年間の題材計画なんかも考えておく必要があります。

2018-09-22

高校生の手による着ぐるみ制作記録

やってきた事を記録として残し、誰かにとっての道しるべや励みになれば。

ARTLiVEという舞台表現で着ぐるみを作りたい、となってインターネットで技術・素材について調べつつ試行錯誤した記録です。2017年に制作。
(c) 2017 YAEI High School ARTLiVE

まずは模造紙を適当につなぎ合わせて原寸大の型紙を行き当たりばったりで作れないものか、とやってみました。





なんか違うなーってことで、一度縮小した型紙を作ってみよう、と。





うーん、これもうまくいく気がしない…。

で、webで知った 粘土原型にラップをぐるぐる巻きにして、カットして展開するための線を引く、というもの。











マジックの線で切り開いて、試作としてライオンボード(コーヨーソフトボード・コスプレボード)に書き写し、カットして瞬間接着剤で貼って、組み立ててみました。








なんかいい感じなんじゃ?。

ラップの型紙をコピー機で拡大してつなぎ合わせ、大きな原寸大型紙を作ります。
それをロールで買ったウレタン(スポンジマット)に当てて線を引き、カットします。



ウレタンの接着はGボンド G10だったかG17だったかを両面に塗り、ベタベタつけたり外したりして手につかないくらい乾かしてから押し付けるようにして貼り合わせます。それだけでも接着できますが、ダブルクリップでしばらく圧着する感じにしてしばらく経つと外れなくなりました。













目や口はスタイロフォーム(発泡ポリスチレンフォーム)を削って形を作り、ジョイントセメントまたは壁パテを使って表面がなめらかになるように埋めます。乾いたら研磨し、水性アクリルスプレーなどで固めつつ塗装するようにしました。

上の写真では自立していますが、中には竹が芯として入っています。

芯を入れない状態では、中に人が入った時に、支える場所によって意図しなかったところが凹んでしまったりしたので、筆者自宅近くの竹の足場素材などを扱っているお店に相談して、青竹を割って幅2cm程度の平べったいリボン状にしたものを売っていただきました。その竹を輪にしたり、それらをつないだりして鳥かご状の芯を作って中に入れるという作業が間に入っています。




ウレタンに転写した型紙を使って、マイクロフリースやフェイクファーなどの生地に形を書き、裁断し、Gボンドで接着。





足も見えていた方がいい、ということで作ってみます。



長靴になるような部品



フル装備。脚長いな…。



脚脱いだところ。


着ぐるみはやはり目立ちます。

ただ、思っていた以上に費用がかかりました。確かゆうに3万円以上はかかったと思います。しかしながら5万円には行かなかったと思います。ウレタンも結構な分量が必要でしたし、それよりも表に貼った布が結構高かった印象があります。フサフサ系は高いですね。

「ヒーロースーツの作りかた」という書籍もあります。こちらの着ぐるみ制作の記事も参考にさせていただきました。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84%E3%81%AE%E4%BD%9C%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%9F-%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84%E5%88%B6%E4%BD%9C%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A/dp/476612605X/ref=sr_1_fkmr2_1?ie=UTF8&qid=1537614985&sr=8-1-fkmr2&keywords=%E7%9D%80%E3%81%90%E3%82%8B%E3%81%BF%E3%80%80%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84%E3%80%80%E6%9C%AC

ご参考までに。

2018-09-20

クラス演劇、学校演劇、文化祭のための音響照明 音響編

教室演劇をする際、音響(装置)はどこまで必要でしょうか。
狭い空間であれば工夫次第で生演奏、生声、生効果音というのも面白そうです。



今回は
(1)BGMや効果音(SE)を流す
(2)マイクでアナウンスやナレーションを拡声する
ということを音響機器を組み合わせて実施してみました。
(中2でPAの仕組みなどを体験的に理解できていたら学年が上がるにつれて自分たちで色々工夫できるのではないかということも狙って)

昨年度までは、ワイヤレスマイクとアンプとスピーカーとCDデッキとが一体型になった学校によくある機材を使ってやっていたそうです。

(1)についてはCDラジカセや(学校事情によりますが許可されているようなら)今ならスマートフォンで音を出せるアプリなんかも結構ある(「ポン出し」「サンプラー」などで検索)ようなので、それでやろうと思えばできなくもありません。

(2)については小型のスピーカーなどでも可能ですが、ある程度きちんとした機材で、音が出る仕組みや原理について学べるものがあった方が学習機会としていいのではないかと考えました。



◆今回使用したPA機材

【パワー・アンプ/音を大きくする装置】
CLASSIC PRO (クラシックプロ) DCP400 ¥26,784 税込https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/152104/
デジタルパワーアンプなのでとても軽くて、設営と撤収を繰り返す必要があったので助かりました。

【スピーカー/音が出る装置】
CLASSIC PRO (クラシックプロ) CP12E ¥10,584 税込 を2台
スピコンの長いケーブル2本もサウンドハウスで

【ミキサー/音を混ぜる装置】
BEHRINGER (ベリンガー) XENYX X1204USB ¥21,384 税込

【マイク・マイクスタンド】を2本(サウンドハウスで一番安いやつ)
【キャノンケーブル】を長いのを2本、短いのを2本

これらの扱い方をあらかじめ授業でレクチャー&体験をしておき、生徒に扱ってもらいました。ずっと会場におきっぱなしにできる環境ではなかったため、立ち上げからバラしまでを何度も行う必要があり、全員とはいきませんが、音響関係に興味がある生徒は結線方法や八の字巻きなんかをかなりマスターしたのではないかと思います。

また、機材もドカンと購入できたわけではなく、少しずつ機会を見つけて揃えてもらってきました。



◆ableton live をポン出しアプリケーションとして

ableton liveは本来DAW(desktop audio workstation:言ってしまえば作曲ソフト)ソフトです。
最新バーションはLive 10です。

こちらは最上位バージョンのLive 10 Suiteが30日間無料で試せます。
しかし無料期間が過ぎると保存ができなかったり…だったかな?それとsuiteにしか入っていないプラグインが使用不能になったりして、結果的にStandardを購入した後で不便だった記憶があります。

で、予算も限られている場合、Live 9 Liteを使うという手があります。(10がリリースされた今も多分できるのではないかと)
こちらはトラック数が8トラック限定になったり機能限定ですが保存や書き出しも可能で使い続けられます。

以前劇場関係の方に演劇の現場で使われている事を教わり、それ以来自分のmacにインストールして使ってみたりしていました。

akaiなどのmidiコントローラーにLive 9 Liteのライセンスがついてきます。apc miniあたりがお手頃で実際のオペレートにも役立っていました。


さて、実際の劇場現場での活用方法ですが、例えば8トラックにそれぞれ
・環境音「雨」
・環境音「雷」
・鬨の声
・剣戟音1
・剣戟音2
・倒れる音
・馬のいななき
などなど…
を配置すれば、任意のタイミングで全てを混ぜて鳴らすことができます。
CDデッキを使っている場合は1台につき1つの音しか鳴らすことができません。
役者に合わせて複数の音をオペレートできるので、DAWソフトでありながらこういった使い方が重宝されるのでしょう。

設定など、詳しい使い方についての解説をまとめている余力がないので、更に知りたい方は…
○「ableton live 使い方」で検索
○公式サイトのチュートリアルを見る
○今調べてみたら「音響さん向けAbletonLive講座」というツイッターアカウントがありましたので、そちらをご覧いただく

ということで、ひとつ。

2018-09-19

後夜祭でのプロジェクションマッピング

後夜祭で校舎に向けてプロジェクションマッピング





  • デジカメで投影する部分の校舎の写真を撮影
  • Photoshopで歪みを補正して窓枠などを水平垂直にする
  • AfterEffects(以下AE)で「線」エフェクトや「ブラシアニメーション」エフェクトを使って光の線を動かす
  • 同じくAEで「シャター」などのエフェクトで壊してみたり
  • AEのパペットアニメーションツールを使って、切り絵のキャラクターを動かす
  • テキストのアニメーションはAEの無料プラグインを探して導入
  • 4500lmのプロジェクターを中古で安く導入して完全に日が暮れてからグラウンドから投影(本当は2台重ねようと用意していたが、調整時間が十分ではなく映像重ねられず、やむなく1台で投影:残念)
  • 楽曲はiOSのアプリケーションlaunchpadで素材を組み合わせて作成
  • オペレートはVJソフトresolume avenue 6をアカデミックライセンス(26,000円ちょっと)で導入


後夜祭本番では動画を撮影している余裕がなかったので、この動画は後夜祭終了後に機材を残していただき、記録用にもう一度撮影したものです。音響機材は撤収してしまう必要があったため、音楽はpremiereで音源をもう一度重ねてあります。


この企画自体は5月下旬からスタートした感じなので、実質4ヶ月程度でなんとか実現までこぎつけました。

投影する動画素材さえ用意できればプロジェクターとresolumeの操作だけなので、それほど難しくはないかもしれません。
VJ素材を探すのもアリですね。
http://vjyou.blogspot.com/2015/03/vjseminar2015-07-vj.html

https://www.beeple-crap.com/vjloops
Brainfader VJ Pack (Vol.1)というやつが好みです。1つエンディングにスポットで使用しました。

照明と音響だけでなく、ビジュアルで会場を華やぐ感じにすることも可能かと思います。

クラス演劇、学校演劇、文化祭のための音響照明 体育館ステージ照明編

今年度、体育館ステージ照明に力を入れたいなぁ、と思ったのはこの動画を見たから、というのも大きいかもしれません。

https://youtu.be/jRZWB_IMVcQ


大阪市立西高等学校の文化祭だそうです。前任校で有志団体の舞台の照明や音響に5年間携わって色々と学ばせていただきましたが、ここまで学校全体でガッツリとやっている学校もある!と勇気付けられ、少しずつでもいいので今いる学校の舞台発表やエンターテインメントを進化させていきたいなという思いを新たにしたのでした。

話は1年前に遡りまして、現任校着任1年目に見た後夜祭体育館ステージでのバンド演奏は2階ギャラリーからカラーフィルターが回転するタイプのスポットライトが上手と下手に1発ずつと、ステージ天井に固定されて昇降しない(!)ボーダーライトが吊ってあり、2階の体育館放送室からそれらをON OFFできるだけのもので、「照明による演出」をしたくてもできない、もしくは思いつきもしない状況でした。

幸い、文実担当の先生が声をかけてくださり、文化祭を盛り上げたいという共通の思いから文化祭での売り上げの使い道についてアレコレ話をしているうちに、こちらの希望を聞いてくださり、いくつかの照明機材を新たに導入させていただけることになりました。

照明の世界も日々進歩しており、廉価でなかなかのものが手に入るようになって来ています。

まずはオールマイティーなパーライトとして
AMERICAN DJ (アメリカンディージェイ)
Dotz Par  ¥12,744 (税込)
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/193383/

次にエフェクトとして
AMERICAN DJ (アメリカンディージェイ)
MINI DEKKER LZR ¥13,824(税込)

他には照明スタンド
あとはDMXケーブルを。

DMXによる照明の制御についてはサウンドハウスさんの「照明入門講座」がとてもわかりやすいです。
照明入門講座
電球タイプのパーライトを使用した、DMX制御


◆どのようにして照明機器を操作したか

LED照明は1灯で複数のチャンネルを使います。
例えば24チャンネルのフェーダーがついたDMXコントローラーでそれらを制御することは不可能ではありませんが、ホールに設備が固定されていて、いつでも試せる状態で、慣れた人には扱えるかもしれません。

前任校の卒業生に音響照明に詳しい人がいて、sushi DSという6,000円くらいのUSB-DMXインターフェースがあり、いくつかのアプリケーションがそれに対応していて照明機器を制御できるということを教えてくれたことがありました。

それが使えるのではないかと思い、早速そのsushi DSを購入してみてDMXコントロールアプリケーションDASLIGHT 1(フリー版。現行は4ですが、月額または年額で費用がかかります)を学校のノートPCにインストール、文実の生徒と一緒に機材をつないでテストしてみましたが、できるにはできたものの、…大丈夫かな?といった手応え。

まあこれで行こうかとなり、次回までにプログラムを組んでみるように、解散、となりました。

その次の集まりの前日だったでしょうか、諦め悪くDMXコントロールアプリケーションを探していて偶然見つけたのが「QLC+」というソフトでした。比較的新しいソフトのようです。

DMXコントロールアプリケーションは書籍で解説が出るほどの分野ではないため、扱い方を体得するまでが難しいと思います。DASLIGHT(ver.1)も日本語での情報が確かほとんどなくて苦労した覚えがあります。

このQLC+はフリーソフト(ドネーションのボタンがあったので寄付で成り立つシェアウェアでしょうか)であり、日本語のマニュアルがダウンロードできます。対応OSはwindowsもmacもLinuxもあり。

さらにはyoutubeにQLC+の使い方を日本語で解説している動画もありまして、これがとても参考になりました。

で、急遽文実の生徒にもこのアプリケーションや動画を紹介して、こちらで行こうということに。

サンプルのプリセットを作ってみて、視聴覚室に照明を立ててミニライブをして、何をどのように組み立てていけばいいのかがわかりました。その後は夏休みを利用して放送室内に照明を仮組みし、そこにQLC+のインストールされたノートPCを置いて、データを作って試せる環境を用意しました。

「どの照明を何チャンネルに割り振っているのか」や「入力装置と出力装置の設定」などはこちらで決める必要がありましたが、そのテンプレートデータを共有しさえすれば、あとは担当する生徒がそれらの曲に合わせてシーンとチェース(連続したシーン)を自由に組むことができます。ダウンロードしてインストールすれば自宅での作業も可能です。モニター機能でどの灯体がどんな色になっているかも一応わかりますし、ボタンアレンジも自分でできるので、わかってしまえばアレコレ作り込みもできます。


その後も学校に古くからあったフットライト(丸茂の12灯が3台、プラグはT字)の電球をLEDの40型に交換して、平行の変換ケーブルでDimmerパックに繋げてDMX制御できるようにしたり(それに付随して電源の電気工事もしてもらった)、音響方面をカバーしてくださった先生がスモークマシンを急遽導入したりして、なんやかんやありましたが、以下の動画は文化祭当日の体育館ステージ発表での照明の様子です。19秒の短い動画です。コピーバンドなので、音声は抜いてあります。

大阪市立西高校さんと比べてしまうとアレですけれども、音楽に合わせて照明が変化していくのを見ると、気持ちも高揚させられるのが感じられました。


中央付近でぐるぐる回っているのは、アマゾンで7,000円くらいで購入したムービングヘッドです。これはメーカー名も不確かでQLC+にはフィクスチャー情報が登録されていなかったので、16ch分のデータを英語のマニュアルを見ながら自分で登録する必要がありました(しかも間違って登録してしまったりした)。


できるだけお金をかけずにしっかりとしたステージ演出照明を実現するにはどうしたらいいだろうか、ということを念頭に置いて、色々な方々のお力をお借りしながら取り組んだ半年間でした。

予算のかけられない学校関係の方々に、少しでも参考になれば幸いです。



【知りたいこと・これからの課題】
学校行事における音響関係は放送委員会や放送部が担うことが多いと思うのですが、照明関係は学校内でどこが担っているのでしょうか。ホールなどの専門設備がある学校ではそのスタッフを束ねる委員会なり組織なりがあると聞きます。そうでないところはどうしたらいいものか…。技術と知識が伝承される仕組みを作っていかないと、続いていかないので、そこが課題かと思います。
(本質が抜け落ちてまで続けることがいいことだとは思っていませんが)

2018-09-18

クラス演劇、学校演劇、文化祭のための音響照明 照明制作編

8月下旬に実施したリハーサル用のステージ仮組み画像


当初、教室演劇の照明機材は

DMXコントローラー:
ELATION ( イレーション ) / SCENESETTER…¥21,384(込)
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/87895/

前あかり:
STAGE EVOLUTION / QPAR WH…¥7,538(込)を2台

ローホリ代わり(ころがし)
amazonで売っている3,000円弱のLEDパーライトを2台

という組み合わせでいこうと考えていました。

しかし、授業で扱ってみてちょっと物足りないというか、前あかりだけでは不自然な感じがしたので、地明かりとしてのサスライトをどうにか作らねばと思っていたところ、高文連の行事で前任校の演劇部の顧問と再会し、相談に乗ってもらいました。

そこで示唆を与えてもらったのが、市販のクリップライトを使う方法です。

彼はソケットに電源コードを取り付けてプラグを取り付けて、シェードは空き缶を使うというDIY舞台照明を使っていましたが、安全面で自作は少々不安だな〜と思っていると「手軽なのはクリップライトですね。」と教えてくれました。確かに固定はクリップでできるし、電気系の工作も必要ありません。一も二もなくそれで行くことにしました。ありがとう、Y浦先生。

ところが、ネットでどれがいいか比較検討してみますと、クリップの開くサイズがどれも小さい。教室には当然照明を釣るためのサスバトンがありません。そこで、サスライトを吊るための照明スタンドセットを導入することにしていまして、
そのパイプ径がおよそ4cm前後あります。家庭用のクリップライトってそんなに厚いものを挟む設計になっていないので、これは購入しても固定できないのでは…という懸念が。

そんな時に、以前建設現場で仕事をしていた経験が役に立ちました。照明設備のない現場では金網シェードの現場ライトとでも言うような照明があったはず。調べてみたらありました。クリップ部分も単管パイプなどにつけられるよう大きく開く設計です。

アマゾンで一番安価なものを5個注文し、これを使ってみることに。

付属の100W電球は明るすぎるのではないかと考えて、レフ電球を別に注文

消費電力も抑えて、明るすぎず雰囲気よく役者を照らしてくれました。



以下、シェード部分の改良を記録しておきます。

初めは金網になっているシェード部分をアルミホイルで覆って光が拡散しないようにしていました。そうしていても、広がっているアサガオ部分には光が反射して線が見えてしまいます。



確かY浦先生たちはアルミボトル缶を切って使っていたなと思って試してみたのですが、切り口が鋭利だったりして、電球交換する時に手を切ってしまいそうだったので、他のやり方を模索しました。


で、100均のガーデニング系雑貨あたりからブリキか何かの金属製バケツで試してみました。
材料
工事現場で使われるクリップライト、100均の小型金属バケツ、ドライバー、キリ、鉄工用ドリル、ニッパーペンチ、ビニールテープ

シェードはネジで止まっています。これをドライバーで外せばシェードを取り外せます。

ソケットを当てて、油性ペンでマーキング(この時点でずれていたことに気づかず…のちに修正)
ドリルの刃がブレないようにするためにキリで穴を開けました。(中心ずれてるぞ〜)

10mmのドリルで穴あけ(ずれたまま)

穴からニッパーを差し込んでジョキジョキ(缶切りの気持ちで)この辺りでズレに気づいて修正


8方向に入れた切り込みをペンチで立ち上げます

広げた穴にきっちりとソケットが入ることを確認

試しにその上からクリップ固定用部品を締め付けてみました。大丈夫。

スプレーブースに置いて黒ラッカースプレーで塗装

乾燥中

口のところは丸まっているので、電球交換も安全安心

ビニールテープで固定

クリップ固定用部品の取付もバッチリ

無事に見栄え良くトラスに固定できました


また、クリップ部分ですが、そのままだとトラスのパイプが金属で、クリップも金属で金属同士が擦れて傷がつく感じがしたのと、ズレてしまうような気がしたので、立ち上げの際にグルーガンでグルーをムニムニッと絞り出してもらい、保護部分を追加しました。これも照明の固定に一役買ってくれました。




今回はある程度手間暇をかけて制作できましたが、そんな時間も取れないこともあるかもしれません。

Y浦先生と私で
「どこか(の会社)でDMXに対応した小型の(電球色または単色の)LEDパーライトを2,000円未満で売ってないかな〜。」
「(一番いいのは)ほんとそれなんですけど、ニーズが少なすぎてどこも売り出せないわっていうところですよね…。笑」
そんな話をしていました。

パイプ固定部品込みでどこか作りませんか〜。