2018-10-20

中学2年美術 木彫 鎌倉彫 試作 「塗り試作」編

「彫り」編の続きです。

残りのカツラ材で小さいものを二つ追加しました。
 
ロコイド軟膏のチューブと「ぐり紋(自分なりの解釈)」

今回の鎌倉彫を題材にするにあたり、以下の考え方を提示しました。
・伝統紋様や過去の彫刻や鎌倉彫作品を調べてそれを模写するように作る
・身の回りにあるものを見つめ直し現代的なモチーフの新作鎌倉彫を作る

過去に戻るベクトルと、「今」を見渡すベクトル、どちらも未来に繋がっていると思うので、どちらかに偏るのではなく、全員の作品が出来上がってそれを展示した時に幅広い作品が並んでいてほしいし、それがやっぱり自然なんじゃないか、というこちらの思いがありました。

それを見本として見せたのが、今回の3点というわけで。


さて、「塗り」なんですが、シンナーを扱う油性塗料は中学2年生という成長期において何らかの影響があるのではないかということを懸念し、候補から外しました。

本物の漆もできるものなら扱わせたいですが、これから気温も湿度も下がっていく時期で乾かないことが心配だったのと、何よりかぶれの問題もあるので候補から外しました。

水性塗料で、うるしの工程が踏めるのではないかと期待してワシンの「水性工芸うるし」を使ってみることに。

試し塗装で用意した道具

乾燥させるために乗せておくものに一工夫。
カットしたクリアフォルダーに記名してある名刺サイズのカード、
画鋲をプスッと刺して針が出ています。


その針3点以上の上に乗せます
しかしその後、ちょうど良いものが見つかったので、このやり方はやっていません

立体物の塗装で困るのが全面を塗装するためには表側と裏側、2回分の手間がかかる、ということではないでしょうか。45分の授業中に2回分の塗装を行うのは困難で、次の授業は1週間後…となるのが普通です。また、側面を塗る時にも手に塗料がついたり、刷毛から落ちた塗料が机を汚してしまったり…。(40人弱の集団が同時に塗装をする、といった通常ではなかなかありえない状況下での)塗装にまつわる様々な面倒くさいところを乗り越えてまで何かをやらせたい!とならないとなかなかこういった実践が増えていかないのだろうと思います。

一応今回は裏を塗ってみた

「蒔き地」や「紛蒔き」など様々な名称で呼ばれていると思いますが、地塗りが乾く前にとの粉を蒔きました。100均の製菓用具コーナーでふるいを買って来て上からふるってみました。
ふるい に との粉
ふるわなくても全然大丈夫なキメの細かさでした

蒔き終わり

少し落ち着かせてから刷毛で余計な粉をさっとはらった


ここで4時間以上乾燥
乾燥後に耐水ペーパーで水研ぎをしたような…。
400番で空研ぎだったかも…。(写真がない)

中塗りとして「鎌倉赤」を塗る(1回目)

4時間後に1000番の耐水ペーパーで水をつけながら研磨

研磨終わり

中塗り2回目

2回目の1000番水研ぎ

その後1回追加して合計3回の「鎌倉赤」を塗った後、研いでから上塗りとして「朱」を塗りました。
予想以上に明るい色で、1回目では下の鎌倉赤が全然隠れません。

水性工芸うるしのボトルにも説明がありましたが「3回くらい塗り重ねてください」とあるように、油性のものよりも1回分の塗膜は薄くなるようです。刷毛塗りの泡立ちも消えにくい感じがします。

1500番くらいで一度水研ぎしてみたもの(と思われる)

その後「朱」を2回追加して、3回分の塗膜

マイクロポリネットシートの1000番で空研ぎをしてみた

マイクロポリネットシートの3000番で空研ぎ

塗りの工程見本を作ることにした。試しの反省を生かして中塗りを「朱」に。

この後、コンパウンドや胴摺粉を試してみる予定です。
また、他の色の組み合わせ(藍と黒、乳白色と緑、赤に古び粉蒔き)も試しているので、後日その2つをまとめます。

2018-09-23

中学2年美術 木彫 鎌倉彫 試作 「彫り」編

美術教育の題材の記録も。

中学2年の美術で行う鎌倉彫の題材について記録しておこうと思いました。

中学2年と3年の美術は今、週に1時間しかありません。(中1は音楽と合わせて3時間)

1時間といっても、学校によって50分や45分の1単位時間ということです。
今の勤務校では45分です。

こうして改めて文字に書き起こしてみると、中学校現場での割り当てられた時間の少なさに愕然としますね…。

学習指導要領にはアレもコレもてんこ盛りですし、こっちがやりたいことや体験させたいことは山ほどあれど、どちらにしても圧倒的に時間が足りないんだよ、って思っていたところで勝手に世の中が変わってくれるわけではなし。

それでも毎日の授業の時間は容赦なく細切れに押し寄せてくるわけで、目の前の忙しさを言い訳に、その状況で頑張ってなんとかやってしまっているのはある意味で現状を黙認してしまっているのと変わりないのかもな、という思いはずっとあって、blogなどでわずかずつでも「そうじゃねぇでしょうよ」ということは表明していかないといかんなと思っています。(一文が長い)

いち公立美術教員として、1年1年失敗覚悟で少しずつ新しい色々な題材にチャレンジしています。これまではそれを個人内経験として蓄積しているだけでしたが、それをオープンにしていくことでバタフライ効果とまでは言わないまでも、何かに繋がっていく可能性はゼロではありません。私自身も数々のそういったアノニマスな記事に助けられてきましたし、私の置く小石やパンくずは誰かの役にたつかもしれません。


で、前置き長い。

今回は現在進行形の木彫課題 鎌倉彫です。

◆題材計画

1回目で題材の説明、次回までに鎌倉彫について調べたりするワークシートを配付し宿題としました。

鎌倉遠足の際に鎌倉彫工芸館を訪れこの題材のヒントを得ました。以下の写真を紹介。


赤い台紙に貼ってあるのは完成見本。カゴに入っているのが売られている状態で、糸鋸などで切るところまで進めてある半完成品。








2回目の授業では、宿題にしてあったワークシートの解説をkeynoteで画像などを交えながら行いました。主に「鎌倉彫の歴史」「材料と工程」についてです。自分が中学生の時に八角鍋敷きに取り組んだ時には、そういったいわば根っこの部分みたいなものがなくて、言われるがままにただやっただけ、みたいな思いが残ってしまったので、そんな話も交えながら解説していきました。その解説の後は自由に話し合ったりアイデアの方向性を検討する時間にしました。また、次の授業までに文化祭などで1週あきましたので、デザインを決定し原寸の下図を描いてくることを宿題としました。

・イマココです。以下は予定

3回目の授業では桂材8cm×8cm、厚さ1.5cmを配布、下図をトレースして転写します。当初は鉛筆カーボンで行おうと思っていましたが、やってみたら結構線が薄かったので、カーボン紙を使うかもしれません。チャック付き袋と木材、カットした紙やすり180番と240番あたりを一緒に配付し、芸術室(勤務校での呼称)にクラスごとに保管の予定。

4回目から6回目くらいまでは授業で彫りを行うことができます。
▲糸鋸盤を使って透かし彫りや周囲を切り離す作業もできますが、これも結構時間がかかりました。1回の授業の半分程度を使ってしまうかも。
△チャック付き袋に入れるのは、持ち帰りで自宅で作業をしてもよい、とするため。

7回目は下地塗りと紛蒔き
8回目は砥ぎと中塗り
9回目は砥ぎと上塗りプラス乾口とり(古び粉蒔き)
10回目は仕上げ研ぎ

12月に校内展示があるので、それまでに完成させる見通しです。

◆見本制作過程(彫り終わりまで)

伝統的な図案もいいですし、こんなのもいいんじゃない?という提案的見本。
お薬シリーズ、としてみました。


転写して糸鋸盤でカット


切り終わり。厚みがそれなりにあるので、スイスイサクサクとはいかない。


ムスメの彫刻刀で彫り彫り


レリーフはあまり得意ではなく「こ、こうか?」とビクビクしながら彫っています。 


なんとなくいい感じ


せっかくなのでディテールまで


紙やすり研磨まで終えました。
塗装編はまた後日。

塗装して乾燥させるための置き台をどうするか迷っています。
160人分の作品を乾燥させるスペースを確保しつつ、なおかつそのスペースが他の学年の題材とかぶらないといった年間の題材計画なんかも考えておく必要があります。

2018-09-22

高校生の手による着ぐるみ制作記録

やってきた事を記録として残し、誰かにとっての道しるべや励みになれば。

ARTLiVEという舞台表現で着ぐるみを作りたい、となってインターネットで技術・素材について調べつつ試行錯誤した記録です。2017年に制作。
(c) 2017 YAEI High School ARTLiVE

まずは模造紙を適当につなぎ合わせて原寸大の型紙を行き当たりばったりで作れないものか、とやってみました。





なんか違うなーってことで、一度縮小した型紙を作ってみよう、と。





うーん、これもうまくいく気がしない…。

で、webで知った 粘土原型にラップをぐるぐる巻きにして、カットして展開するための線を引く、というもの。











マジックの線で切り開いて、試作としてライオンボード(コーヨーソフトボード・コスプレボード)に書き写し、カットして瞬間接着剤で貼って、組み立ててみました。








なんかいい感じなんじゃ?。

ラップの型紙をコピー機で拡大してつなぎ合わせ、大きな原寸大型紙を作ります。
それをロールで買ったウレタン(スポンジマット)に当てて線を引き、カットします。



ウレタンの接着はGボンド G10だったかG17だったかを両面に塗り、ベタベタつけたり外したりして手につかないくらい乾かしてから押し付けるようにして貼り合わせます。それだけでも接着できますが、ダブルクリップでしばらく圧着する感じにしてしばらく経つと外れなくなりました。













目や口はスタイロフォーム(発泡ポリスチレンフォーム)を削って形を作り、ジョイントセメントまたは壁パテを使って表面がなめらかになるように埋めます。乾いたら研磨し、水性アクリルスプレーなどで固めつつ塗装するようにしました。

上の写真では自立していますが、中には竹が芯として入っています。

芯を入れない状態では、中に人が入った時に、支える場所によって意図しなかったところが凹んでしまったりしたので、筆者自宅近くの竹の足場素材などを扱っているお店に相談して、青竹を割って幅2cm程度の平べったいリボン状にしたものを売っていただきました。その竹を輪にしたり、それらをつないだりして鳥かご状の芯を作って中に入れるという作業が間に入っています。




ウレタンに転写した型紙を使って、マイクロフリースやフェイクファーなどの生地に形を書き、裁断し、Gボンドで接着。





足も見えていた方がいい、ということで作ってみます。



長靴になるような部品



フル装備。脚長いな…。



脚脱いだところ。


着ぐるみはやはり目立ちます。

ただ、思っていた以上に費用がかかりました。確かゆうに3万円以上はかかったと思います。しかしながら5万円には行かなかったと思います。ウレタンも結構な分量が必要でしたし、それよりも表に貼った布が結構高かった印象があります。フサフサ系は高いですね。

「ヒーロースーツの作りかた」という書籍もあります。こちらの着ぐるみ制作の記事も参考にさせていただきました。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84%E3%81%AE%E4%BD%9C%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%9F-%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84%E5%88%B6%E4%BD%9C%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A/dp/476612605X/ref=sr_1_fkmr2_1?ie=UTF8&qid=1537614985&sr=8-1-fkmr2&keywords=%E7%9D%80%E3%81%90%E3%82%8B%E3%81%BF%E3%80%80%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%84%E3%80%80%E6%9C%AC

ご参考までに。

2018-09-20

クラス演劇、学校演劇、文化祭のための音響照明 音響編

教室演劇をする際、音響(装置)はどこまで必要でしょうか。
狭い空間であれば工夫次第で生演奏、生声、生効果音というのも面白そうです。



今回は
(1)BGMや効果音(SE)を流す
(2)マイクでアナウンスやナレーションを拡声する
ということを音響機器を組み合わせて実施してみました。
(中2でPAの仕組みなどを体験的に理解できていたら学年が上がるにつれて自分たちで色々工夫できるのではないかということも狙って)

昨年度までは、ワイヤレスマイクとアンプとスピーカーとCDデッキとが一体型になった学校によくある機材を使ってやっていたそうです。

(1)についてはCDラジカセや(学校事情によりますが許可されているようなら)今ならスマートフォンで音を出せるアプリなんかも結構ある(「ポン出し」「サンプラー」などで検索)ようなので、それでやろうと思えばできなくもありません。

(2)については小型のスピーカーなどでも可能ですが、ある程度きちんとした機材で、音が出る仕組みや原理について学べるものがあった方が学習機会としていいのではないかと考えました。



◆今回使用したPA機材

【パワー・アンプ/音を大きくする装置】
CLASSIC PRO (クラシックプロ) DCP400 ¥26,784 税込https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/152104/
デジタルパワーアンプなのでとても軽くて、設営と撤収を繰り返す必要があったので助かりました。

【スピーカー/音が出る装置】
CLASSIC PRO (クラシックプロ) CP12E ¥10,584 税込 を2台
スピコンの長いケーブル2本もサウンドハウスで

【ミキサー/音を混ぜる装置】
BEHRINGER (ベリンガー) XENYX X1204USB ¥21,384 税込

【マイク・マイクスタンド】を2本(サウンドハウスで一番安いやつ)
【キャノンケーブル】を長いのを2本、短いのを2本

これらの扱い方をあらかじめ授業でレクチャー&体験をしておき、生徒に扱ってもらいました。ずっと会場におきっぱなしにできる環境ではなかったため、立ち上げからバラしまでを何度も行う必要があり、全員とはいきませんが、音響関係に興味がある生徒は結線方法や八の字巻きなんかをかなりマスターしたのではないかと思います。

また、機材もドカンと購入できたわけではなく、少しずつ機会を見つけて揃えてもらってきました。



◆ableton live をポン出しアプリケーションとして

ableton liveは本来DAW(desktop audio workstation:言ってしまえば作曲ソフト)ソフトです。
最新バーションはLive 10です。

こちらは最上位バージョンのLive 10 Suiteが30日間無料で試せます。
しかし無料期間が過ぎると保存ができなかったり…だったかな?それとsuiteにしか入っていないプラグインが使用不能になったりして、結果的にStandardを購入した後で不便だった記憶があります。

で、予算も限られている場合、Live 9 Liteを使うという手があります。(10がリリースされた今も多分できるのではないかと)
こちらはトラック数が8トラック限定になったり機能限定ですが保存や書き出しも可能で使い続けられます。

以前劇場関係の方に演劇の現場で使われている事を教わり、それ以来自分のmacにインストールして使ってみたりしていました。

akaiなどのmidiコントローラーにLive 9 Liteのライセンスがついてきます。apc miniあたりがお手頃で実際のオペレートにも役立っていました。


さて、実際の劇場現場での活用方法ですが、例えば8トラックにそれぞれ
・環境音「雨」
・環境音「雷」
・鬨の声
・剣戟音1
・剣戟音2
・倒れる音
・馬のいななき
などなど…
を配置すれば、任意のタイミングで全てを混ぜて鳴らすことができます。
CDデッキを使っている場合は1台につき1つの音しか鳴らすことができません。
役者に合わせて複数の音をオペレートできるので、DAWソフトでありながらこういった使い方が重宝されるのでしょう。

設定など、詳しい使い方についての解説をまとめている余力がないので、更に知りたい方は…
○「ableton live 使い方」で検索
○公式サイトのチュートリアルを見る
○今調べてみたら「音響さん向けAbletonLive講座」というツイッターアカウントがありましたので、そちらをご覧いただく

ということで、ひとつ。

2018-09-19

後夜祭でのプロジェクションマッピング

後夜祭で校舎に向けてプロジェクションマッピング





  • デジカメで投影する部分の校舎の写真を撮影
  • Photoshopで歪みを補正して窓枠などを水平垂直にする
  • AfterEffects(以下AE)で「線」エフェクトや「ブラシアニメーション」エフェクトを使って光の線を動かす
  • 同じくAEで「シャター」などのエフェクトで壊してみたり
  • AEのパペットアニメーションツールを使って、切り絵のキャラクターを動かす
  • テキストのアニメーションはAEの無料プラグインを探して導入
  • 4500lmのプロジェクターを中古で安く導入して完全に日が暮れてからグラウンドから投影(本当は2台重ねようと用意していたが、調整時間が十分ではなく映像重ねられず、やむなく1台で投影:残念)
  • 楽曲はiOSのアプリケーションlaunchpadで素材を組み合わせて作成
  • オペレートはVJソフトresolume avenue 6をアカデミックライセンス(26,000円ちょっと)で導入


後夜祭本番では動画を撮影している余裕がなかったので、この動画は後夜祭終了後に機材を残していただき、記録用にもう一度撮影したものです。音響機材は撤収してしまう必要があったため、音楽はpremiereで音源をもう一度重ねてあります。


この企画自体は5月下旬からスタートした感じなので、実質4ヶ月程度でなんとか実現までこぎつけました。

投影する動画素材さえ用意できればプロジェクターとresolumeの操作だけなので、それほど難しくはないかもしれません。
VJ素材を探すのもアリですね。
http://vjyou.blogspot.com/2015/03/vjseminar2015-07-vj.html

https://www.beeple-crap.com/vjloops
Brainfader VJ Pack (Vol.1)というやつが好みです。1つエンディングにスポットで使用しました。

照明と音響だけでなく、ビジュアルで会場を華やぐ感じにすることも可能かと思います。