2013-08-06

教員免許更新講習1日目「工作用塗料の現在と注意点」

教員免許更新講習で、古巣の東京学芸大学に行っています。

正門はこんな感じ。


1日目の8月2日(金)はARTLiVE本番の二日前!仕込みの前日!搬入準備の日…なのに現場にいられない顧問になってしまいました。

この日はお世話になった木工研究室の太田朋宏先生の講座
「工作用塗料の現在と注意点」

午前中のゲストスピーカーはワシンのお客様相談室の室長さん(という肩書きだったと思います)。
ホームセンターや美術教材カタログでよくお見かけする会社なので、大きな規模かと思ったら予想以上に小さな会社でびっくり。サンディングシーラーが好きでお世話になっていました。

今、主力は水性塗料とのことで、ウレタン樹脂、アクリル樹脂を使ったニスも水性のモノで品質改良を繰り返して、肉持ちがよいものや早く乾くものを開発してきたそうです。

興味深かったのは、「水性つやだしニス」と「水溶性つやだしニス」の違い。
何が違うのでしょうか〜?





【こたえ】
「水性つやだしニス」はアクリル系エマルション塗料で、薄めたり刷毛洗いに使うのは水でOK。乾燥時間は1時間程度。

「水溶性つや出しニス」は水溶性アクリル樹脂塗料で、アルコールが溶剤としてつかわれており、溶剤の揮発が早い。そのため、作品に塗った絵の具が溶けにくく、にじむような事がないというもの。乾燥時間は10〜20分。そのかわり、薄めたり、刷毛を洗ったりするのには「水溶性ニス専用薄め液」を使わなければならず、刷毛を水洗いし、それをそのまま使おうものなら乾いたときに白濁してしまうという事故も…。そのような経験をされた図工や美術の先生も多いようでした。

表示や説明って大事ですね。あと、ネーミングも。名前だけできちんと性質や性能が伝わればいいのに。

他にも、着色剤と言えばオイルステインが当たり前でしたが、この日は「水性ポアーステイン」で色をつけてみました。カタログには「水性オイルステイン」という商品も載っていて、矛盾を感じます。

その後、「水性工芸うるし」という商品を試し塗りさせてもらいました。工芸うるしまで水性になっているとは…。素材はウレタン樹脂だそうです。3回くらい重ね塗りをすればカシューと同程度の厚みになるとか。
 この小箱は「鎌倉赤」を3回程度塗って、和紙(千代紙?)をはりつけ、上から「透明」を1回ぬってあるというもの。
丁寧に研磨すれば結構良さそうなつやが出るのではないでしょうか。

メーカーさんはよかれと思ってニオイもなくして手間もかからないものを開発しがちですが、工芸の本質はその削ぎ落としてしまった部分にたくさん詰まっていると私個人は考えます。お手軽に経験できる日本の伝統ってなんだよ、って。まあ、誰も「本物だぞ〜」なんてやらないと思いますが。



そしてこちらは水性カラーワックス!
よくのびる、色もついてつやも出る!
塗って瞬時に色が変わり、それらしい仕上げになるのは楽しかったです。

これはあくまでも時間がないときにそれらしく仕上げるためのものです、と言ってました。木質を守ってくれるモノというわけではなく、あくまでも置物など工作用だそうです。



午後はオスモカラーの営業さん(なのかな?)がいらして、塗料業界の事を面白い感じでお話ししていただきました。曰く「ホルムアルデヒドが悪い悪いと言われていますが、自然界にも普通に存在するのです。干し椎茸を3つ程度閉め切った教室の中にしばらく置いておけば、簡単に基準値を超えるホルムアルデヒドが出ていますよ。この建物を即壊しなさいと言われるほどです。」「ヒノキにも含まれます。油が腐る過程で生成されるものです。」「ワイシャツの形状記憶という機能もホルムアルデヒドが使われていて、我々の生活には欠かせない化学物質なんです。」「体に有害、と環境負荷が高いという事は別。」「塗料は危険物だという認識を持ってください。」などなど。

オスモの宣伝らしい宣伝はほとんどしていませんでした。えらいなぁ。

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