塗りの技法はそれこそ数限りなくあり、唯一無二の正解はないのだろうと考えます。
言われたことをその通りにこなし、技巧を凝らした作品を作れる人間を育てるのも一つですが、素材の手ごたえや反応を感じながら、工具や技法による仕上がりの違いなどを楽しみつつ柔軟にしたたかに制作できる人(=ものづくりそのものを楽しめる人)を育てたいと考えています。
従いまして、磨きの工程も複数の道筋を用意してみました。
上塗りまで終わったら…
(1)マイクロポリネットシート1000番で水研ぎ→曇る
(2)ヤスリスティック1000番で磨く→曇る
(3)朴炭で水研ぎ→曇る
このいずれかで研ぎます。
その後
(1)呂色磨き粉をウエスまたは脱脂綿に取り、サラダ油をつけて磨く
(2)コンパウンドサンジェットP-202(中目)をウエスにつけて磨き、P-616(超微粒子)をウエスにつけて磨く
のいずれかを選択し、艶上げをしていきます。
朴炭や呂色磨き粉は本物のうるしの作品を磨く時に使われているものですし、コンパウンドも家具や車両のクリヤ塗装後の研磨などにも使われています。準備は大変になりますが「選ぶ」という行為も作品に主体性を添えてくれるのではないでしょうか。
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呂色磨き粉で磨く時の作品と用具 |
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ぐり紋がツヤっとしました |
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塗り立て状態。ツヤはありますが、少しぐにゃっとした印象です |
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マイクロポリネットシートはネット状になっているため目詰まりしにくいという特徴があります。 茶色いポリネットシートの4桁番手バージョンです。 |
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漆屋さんの通販サイトにて磨き資材として紹介されていたものを買って使ってみました。 |
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P-202にもP-616の商品説明にも「素手で触ってはいけない」「皮膚についたら石鹸と流水でよく洗う」というような記述もありました。手袋…? |
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磨きあがりました。写真だと色が補正されてしまって見えにくいですが、 コンパウンドで削れて中塗りの鎌倉赤の透け具合が綺麗でした。 |